設定温度を下げると光熱費は安くなる?
水を温めるために必要なエネルギーは、主に次の3つで変わります。
- 給水温度と使用温度の差
- 使うお湯の量
- 給湯器の熱効率
例えば、同じ量の食器を洗う場合に、実際に蛇口から出すお湯を40℃から38℃へ下げれば、温める幅が小さくなるため省エネになります。
資源エネルギー庁は、20℃の水道水を1日2回、合計65L使用し、食器洗いの給湯温度を40℃から38℃へ下げるモデルケースで、年間8.80m³のガス削減、約1,430円の節約になると試算しています。使用期間は253日という条件です。
ただし、これは一定条件での試算です。水温、使用量、ガス料金、給湯器の効率などが異なれば、削減量と金額も変わります。「1℃下げれば必ず年間○円安くなる」と一律にはいえません。
リモコンの設定温度と蛇口から出る温度は同じとは限らない
給湯器で設定した温度のお湯が、そのまま蛇口やシャワーから出るとは限りません。配管を通る間の放熱や、水栓での湯水混合などによって、実際の吐水温度は変わります。
シングルレバー混合水栓
1本のレバーで湯と水の割合を調整します。給湯器を高めに設定して水栓で水を混ぜる場合と、給湯器を使用温度に近づけて湯側を多く出す場合があります。
サーモスタット混合水栓
浴室でよく使われる水栓で、給湯側のお湯と水を自動的に混ぜ、設定した吐水温度を保ちます。TOTOも、サーモスタット混合水栓では給湯器の設定温度より吐水温度が低くなると説明しています。
必要な給湯温度は水栓の機種によって異なります。「サーモスタット水栓なら必ず50~60℃」と一律に決めず、水栓と給湯器の取扱説明書を確認してください。
高めの給湯温度にして水を混ぜると節約になる?
参考記事などで見かけるのが、「給湯器を50℃や60℃に設定し、水栓で水を混ぜた方が効率的」という説明です。しかし、これはすべての給湯器・水栓・使い方に共通する節約法ではありません。
最終的に同じ量・同じ温度のお湯を使うなら、水を温めるために必要な熱量自体はおおむね同じです。実際の燃料消費量は、給湯器の制御、流量、配管からの放熱、水栓の混合状態などでも変わります。
高めに設定する理由は、サーモスタット混合水栓が温度を調整しやすくなることや、水栓側で水を混ぜることで必要な流量を得やすくなることなど、快適性に関係する場合があります。一方、誤って湯側だけを開けると高温のお湯が出る危険があります。
小さな子ども、高齢者、温度操作が難しい方がいる家庭では、やけど防止を優先してください。水栓によって給湯温度の上限や推奨設定も異なります。
給湯器の種類によって温度設定の考え方が違う
ガス給湯器
ガス給湯器は、基本的に使うときに水を加熱する瞬間式です。実際の吐水温度を下げる、使う時間を短くする、流量を抑えることでガス使用量を減らしやすくなります。
ただし、サーモスタット混合水栓を使用している場合は、水栓が正しく温度調整できる給湯温度を確保する必要があります。
石油給湯器
石油給湯器でも、実際に使うお湯の温度や量を減らせば、灯油の使用量を抑えられます。節約額は灯油価格、給水温度、機器効率、使用量で変わるため、温度を1℃下げた場合の金額を一律には示せません。
貯湯式の石油給湯器では、瞬間式と運転の仕組みが異なるため、取扱説明書に沿った設定が必要です。
エコキュート
エコキュートは、ヒートポンプで沸かした高温のお湯をタンクに貯め、水と混ぜて給湯します。リモコンの「給湯温度」は、蛇口へ送るお湯の温度を設定するもので、タンク内の沸き上げ温度そのものとは異なります。
そのため、給湯温度を少し下げるだけで、ガス瞬間式と同じ考え方の節約になるとは限りません。自動学習モード、沸き上げ量、昼間の沸き増し、休止設定、太陽光発電との連携なども重要です。
詳しくは、エコキュートの電気代を節約する設定と使い方をご覧ください。
電気温水器
電気温水器もタンクへお湯を貯める方式が一般的です。給湯温度だけでなく、沸き上げ湯量、時間帯別の電気料金、昼間の沸き増し回数などが電気代へ影響します。
場所別|無理なく見直せる温度設定
キッチン
油汚れが少ない食器洗いでは、普段より少し低い温度でも支障がないことがあります。設定を下げるだけでなく、つけ置きや汚れの拭き取りを行い、お湯を流し続ける時間を短くすると効果的です。
ただし、低い温度では落としにくい油汚れもあります。衛生上、熱湯消毒などが必要な場面とは分けて考えてください。
洗面所
手洗いや洗顔では、季節に応じて快適に使える範囲で温度を調整します。短時間しか使わない場合は、配管内の冷たい水が抜ける前に使用が終わることもあるため、設定変更による効果が小さい場合があります。
シャワー
設定温度を下げることに加え、シャワーを流す時間と流量を見直す方が、使用湯量を減らしやすい傾向があります。体や髪を洗う間は止め、節湯型シャワーヘッドも検討できます。
浴槽
「給湯温度」と「ふろ温度」は別の設定です。浴槽のお湯は、無理のない温度に設定し、家族が間隔を空けずに入浴すると保温や追いだきを減らせます。
温度設定より効果につながりやすい節約方法
- シャワーの時間を短くする:温度と同時に使用湯量も減らせます。
- こまめに止水する:洗髪、歯磨き、食器洗い中の流しっぱなしを避けます。
- 家族が続けて入浴する:浴槽が冷める前に入り、保温や追いだきを減らします。
- 浴槽にふたをする:入浴間隔が空く場合の放熱を抑えます。
- 適切な湯量にする:必要以上に深くお湯を張らないよう調整します。
- 節湯水栓を使う:快適性を保ちながら流量を抑えられる製品があります。
- 配管や水漏れを確認する:水漏れがあると、水道だけでなく加熱したお湯も無駄になります。
温度を無理に下げて不便になるより、使用時間と湯量を少しずつ減らす方が継続しやすい場合があります。
温度を下げすぎると起こりやすい問題
- 冬にシャワーがぬるく感じる
- サーモスタット混合水栓で希望温度を得にくい
- 配管で放熱し、設定より低い温度になる
- 食器の油汚れが落ちにくくなる
- 温度を上げようとして水栓操作が増える
反対に、給湯温度を高く設定しすぎると、誤操作によるやけどの危険が高まります。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、安全性を優先してください。
温度を変えたあとは、必ず手で確認してから使用します。水栓の温度表示と実際の吐水温度が大きく異なる場合は、水栓の温度調整や点検が必要なこともあります。
設定を変えていないのに光熱費が上がった場合
同じ設定温度でも、冬は水道水の温度が低く、同じ温度まで温めるために多くのエネルギーが必要です。家族人数、入浴回数、シャワー時間、燃料単価の変化でも光熱費は上がります。
次の症状もある場合は、使い方だけでなく給湯器の点検を検討してください。
- 設定温度より極端にぬるい、または熱い
- お湯の温度が頻繁に上下する
- 以前よりお湯になるまで時間がかかる
- 本体や配管から水が漏れている
- 異音、異臭、すすが見られる
- エラーコードが繰り返し表示される
エラーが表示されている場合は、給湯器メーカー別エラーコード早見表もご確認ください。
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よくある質問
給湯器の設定温度を1℃下げると、いくら安くなりますか?
使用量、給水温度、燃料単価、機器効率などで変わるため、一律の金額は示せません。実際の吐水温度と使用湯量が下がった場合に、省エネにつながります。
給湯器を60℃に設定した方が節約になりますか?
すべての家庭で節約になるとは限りません。サーモスタット混合水栓の温度調整や流量には役立つ場合がありますが、同じ量・同じ温度のお湯を使う場合、必要な熱量は大きく変わらないことがあります。水栓と給湯器の説明書に従ってください。
給湯温度とふろ温度は何が違いますか?
給湯温度は蛇口やシャワーへ送るお湯、ふろ温度は浴槽へ自動湯はりするお湯の設定です。別々に設定できる機種があります。
エコキュートも給湯温度を下げれば電気代が安くなりますか?
給湯温度はタンクの沸き上げ温度そのものではないため、単純には判断できません。使用湯量、自動学習モード、昼間の沸き増しなども電気代へ影響します。
シャワーの温度が設定より低いのは故障ですか?
配管での放熱やサーモスタット混合水栓の混合により、設定温度より低くなることがあります。極端にぬるい、温度が安定しない場合は、給湯器と水栓の両方を確認します。
温度を下げる以外に効果的な節約方法はありますか?
シャワー時間を短くする、流しっぱなしを避ける、家族が続けて入浴する、浴槽にふたをするなど、使用湯量と放熱を減らす方法があります。
まとめ
給湯器の温度設定で光熱費を削減できるのは、実際に使うお湯の温度や量を減らせた場合です。リモコンの数字だけを下げても、水栓で調整して同じ温度・同じ量を使えば、期待したほど変わらないことがあります。
ガス・石油給湯器は使用時に加熱する機種が中心ですが、エコキュートや電気温水器はタンクにお湯を貯めます。給湯器の種類と水栓に合った設定を確認してください。
温度を無理に下げるより、シャワー時間、流量、追いだき、保温、食器洗いのお湯の使い方を一緒に見直す方が、快適性を保ちながら節約しやすくなります。