介護でトイレまで行けないときに考えられる4つの対策
介護中のトイレ対策には、主に次の4つがあります。
| 対策 | 工事 | 排せつ物の処理 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 今あるトイレを使いやすくする | 内容により必要 | 不要 | 経路を整えればトイレまで行ける |
| ポータブルトイレを置く | 原則不要 | 必要 | 寝室からの移動が難しく、早く対策したい |
| 寝室近くへトイレを増設する | 必要 | 不要 | 長期的に自宅で暮らすことを考えたい |
| ベッドサイド水洗トイレを設置する | 給排水・電気工事が必要 | 不要 | ベッド近くで水洗式を使いたい |
本人ができる動作を必要以上に奪わず、転倒の危険と家族の介助負担を減らせる方法を選びましょう。
今あるトイレまで安全に移動できるようにする
少し支えがあれば歩ける場合は、まず寝室からトイレまでの経路を見直します。
- 廊下や便器の周囲へ手すりを付ける
- 敷居などの段差をなくす
- 滑りにくい床材へ替える
- 開き戸を引き戸へ替える
- 夜間に足元を照らす照明を付ける
- 廊下の家具や電源コードを整理する
- 便座の高さや手すりの位置を本人に合わせる
距離だけでなく、ベッドから立ち上がる位置、曲がり角、扉の開閉、便座へ向きを変える場所も確認します。昼間は歩けても、眠気のある夜間や寒い時期には危険が増えることがあります。
手すりの取り付け、段差の解消、床材の変更、引き戸への交換などは、条件を満たせば介護保険の住宅改修に該当する場合があります。
ベッドの近くにポータブルトイレを置く
ポータブルトイレは、大がかりな工事をせず寝室内に置けることがメリットです。急に歩くことが難しくなったときや、夜間だけ移動距離を短くしたいときにも使えます。
一方で、使用後はバケツの処理や洗浄が必要です。におい、衛生管理、介助する家族の負担も考えて選ばなければなりません。
選ぶときは、座面の高さ、ひじ掛け、安定性、ベッドからの移乗方向、掃除のしやすさを確認します。
寝室の近くに一般的な水洗トイレを増設する
空き部屋、押し入れ、廊下の一部などを活用し、寝室の近くへ通常の水洗トイレを設ける方法です。移動距離を短くしながら、使用後の処理を家族に頼らずに済む環境をつくれます。
ただし、便器を置くスペースがあれば必ず設置できるわけではありません。次の条件を現地で確認します。
- 給水管と排水管を通せるか
- 既存の排水管までの距離や床下の状態
- 換気扇とコンセントを設置できるか
- 車いすや介助者が入れる広さを取れるか
- 将来の身体状況を考えた扉幅や手すり位置にできるか
費用は便器の価格だけでなく、配管経路や壁・床の改修範囲によって大きく変わります。先に予算だけで判断せず、現地調査で施工できる位置を確認することが大切です。
ベッドサイド水洗トイレを設置する
ベッドサイド水洗トイレは、居室内に設置できる水洗式のトイレです。排せつ物を本体後方のユニットで細かくし、細い排水管を使って圧送する製品があります。
たとえばTOTOの「ベッドサイド水洗トイレ EWRS320N」は、希望小売価格588,500円(税込・取付費別途)です。一般的なトイレより小口径の排水管を使い、排水勾配を設けずに施工できることが特徴です。
水洗式のため、ポータブルトイレのように毎回バケツを運んで処理する必要がありません。ベッド近くで立ち座りができる方にとっては、排せつの自立を保ちやすく、夜間介助や後始末の負担を減らせる可能性があります。
ただし、本体代に加えて給排水・電気・内装などの工事費がかかります。建物の構造や既存配管の位置によっては設置できないこともあるため、現地調査が必要です。
本人が一人でできる動作を確認する
「トイレまで歩けない」と一括りにせず、起き上がり、立ち上がり、数歩の移動、方向転換、衣服の上げ下げ、便座への着座を一つずつ確認します。
福祉用具や手すりがあればできることと、常に介助が必要なことを分けると、必要以上に大がかりな設備を入れずに済む場合があります。
反対に、急に歩けなくなった、ふらつきが強くなった、排せつ時に痛みがあるなど、身体の状態に変化がある場合は、住環境だけで解決しようとせず、医療・介護の専門職へ相談してください。
ユースケースを考える
夜間の利用回数と転倒リスクを考える
夜間は暗さや眠気があり、トイレへ急いで移動しようとして転倒する危険があります。日中は既存のトイレを使い、夜間だけベッド近くの設備を使う方法も選択肢です。
足元灯を付ける場合は、本人がまぶしく感じない明るさと位置を選びます。ベッドからトイレまでに家具や電源コードがないか、手すりが途中で途切れていないかも確認しましょう。
排せつ物の処理を無理なく続けられるか考える
ポータブルトイレは導入しやすい一方、後処理が毎日続きます。処理する人の体力や生活時間、においへの対応、バケツを洗える場所まで考える必要があります。
短期間の使用ならポータブルトイレ、長期的な使用で後処理が大きな負担になるなら水洗式というように、使う期間も判断材料になります。
現在だけでなく今後の身体状況も考える
病気やけがからの回復を待つ短期的な対策なのか、今後も自宅で暮らすための長期的な対策なのかで適した方法は変わります。
トイレを増設・改修する場合は、将来の車いす利用や介助者が横に立つスペースも見込んでおくと、身体状況が変わったときの作り直しを減らせます。
本人、家族、ケアマネジャーなどで、現在困っていることと今後想定される変化を共有してから工事内容を決めましょう。
介護保険は工事や購入の前に相談する
介護保険では、手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸への交換、洋式便器などへの取り替えが住宅改修の対象になる場合があります。
ただし、寝室近くへの新しいトイレの増設費用が、すべて一律に対象になるわけではありません。本人の状態、工事内容、自治体の判断などによって扱いが異なります。
住宅改修は原則として着工前の申請が必要です。契約や工事を始める前に、ケアマネジャーや自治体の窓口へ確認してください。
トイレ環境を変えることは本人の尊厳を守ることにもつながる
排せつは、とても個人的な行為です。「家族を毎回呼ぶのが申し訳ない」「迷惑をかけたくない」と感じ、トイレや水分を我慢してしまう方もいます。
トイレまでの距離を短くする、つかまる場所をつくる、後処理のいらない設備を選ぶといった工夫は、家族の負担を軽減するためだけのものではありません。
本人が自分でできる動作を保ち、できる限り自分のタイミングでトイレを使える環境を整えることは、本人の尊厳や自立を支えることにもつながります。
介護に合わせたリフォームは生活修理案内所へご相談ください
「どこにトイレを増やせるか分からない」「配管の説明ができない」「本人に合う手すりの位置を判断できない」という方もご安心ください。
生活修理案内所では、お電話で状況を伺ったうえで、必要に応じて無料で現地へ伺い、お見積りします。ご自身で型番や配管を調べたり、何枚も写真を撮ったりする必要はありません。
- 今あるトイレを安全に使えるようにしたい
- 寝室の近くへトイレを増設できるか見てほしい
- 便器交換と一緒に手すりも付けたい
- 介助しやすい広さや扉に変更したい
- 工事内容と費用を現地で確認してほしい
見積りを確認してから検討でき、無理に工事を勧めることはありません。本人とご家族の負担を軽くする方法を、電話一本から一緒に考えます。

まとめ
介護でトイレまで行けないときは、今あるトイレまでの経路改善、ポータブルトイレ、寝室近くへの水洗トイレ増設、ベッドサイド水洗トイレという選択肢があります。
大切なのは、本人の身体状況だけでなく、夜間の利用、後処理をする家族の負担、住宅の配管条件、今後の暮らしまで含めて選ぶことです。
どの方法がよいか分からない場合は、ケアマネジャーなどの介護専門職と、住宅・水まわりの施工業者の両方へ相談しましょう。トイレの改修や増設については、生活修理案内所へお気軽にお問い合わせください。
介護に伴うリフォームには補助金が利用できる可能性があります。
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